半導体製造装置の米国株 — 日本企業から見る対応表
半導体は「作る会社」より「作る機械を作る会社」のほうが、日本企業の存在感が大きい分野です。日本の投資家にとっては、東京エレクトロンやディスコの名前のほうが馴染みがあるかもしれません。
ただし、この業界には開示の壁があります。日本側の主力である東京エレクトロンは決算を単一セグメントで出しており、どの装置がいくら売れているかを外から知ることができません。そのため、このページの対応表に◎(直接競合)は付けていません。理由は下に書きます。
この業界の日本の顔ぶれ
アメリカの対応企業
| 企業 | ティッカー | 事業 | 売上高 | 掲載企業内シェア | 時価総額 | 対応の濃さ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アプライドマテリアルズApplied Materials, Inc. | AMAT | 半導体装置とサービス(AGS)の2セグメント。10-Kで業界で最も幅広い製品群を持つと述べている。 | 4.5兆円FY2025 · 米国基準 | 43.5% | 64.1兆円 | 東京エレクトロン ○ SCREENホールディングス ○ ディスコ △ |
| ラムリサーチLam Research Corporation | LRCX | ウエハー処理装置の単一セグメント。製造と保守サービスを行う。 | 3.7兆円FY2026 · 米国基準 | 35.6% | 66.3兆円 | 東京エレクトロン ○ SCREENホールディングス ○ ディスコ △ |
| KLAKLA Corporation | KLAC | 検査・計測を中心とするプロセス制御が売上の9割。装置を作るのではなく、できたものを調べる。 | 2.2兆円FY2026 · 米国基準 | 20.8% | 42.4兆円 | 東京エレクトロン △ SCREENホールディングス △ ディスコ △ |
対応の濃さ:◎ 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/○ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/△ 部分対応(一部の事業のみ重なる)
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上の表のシェアは、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
日米の構造の違い
単一セグメントの会社が2社ある
このページの6社のうち、東京エレクトロンとラムリサーチは報告セグメントが1つだけです。
- 東京エレクトロン — 有報に「『半導体製造装置』の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております」と書かれています
- ラムリサーチ — 10-Kに「operates in one reportable business segment: manufacturing and servicing of wafer processing semiconductor manufacturing equipment」と書かれています
装置に専業だからこその形ですが、読む側から見ると中身が見えないということでもあります。この2社については、当サイトでも事業別の円グラフを出していません。開示されていないものを推定して図にすることはしないためです。
KLAだけ役割が違う
他の5社が「半導体を作る機械」を手がけるのに対し、KLAはできたものを調べる機械が中心です。売上の9割が検査・計測を含むプロセス制御セグメントです。
この違いはSECへの登録業種にも表れています。KLAは SIC 3827(光学機器・レンズ)で、アプライドマテリアルズの3674(半導体および関連装置)、ラムリサーチの3559(特殊産業機械)とは別の分類です。
同じ「半導体製造装置メーカー」と括られていても、作るものが違います。
ディスコは装置と消耗品の両方を持つ
ディスコの事業は、精密加工装置(ダイシングソー、レーザソー、グラインダ、ポリッシャ)と、精密加工ツール(ダイシングブレード、グラインディングホイール)の両方です。
装置は一度売れば長く使われますが、ツールは使うたびに減る消耗品です。売り切りの機械と、繰り返し売れる部材の両方を持つという構造は、このページの他の5社には見られません。
なぜ◎がないのか
対応の濃さの◎は「世界市場で同じ製品・顧客を取り合う」場合に付けています。この業界では、それを開示資料から確認できませんでした。
東京エレクトロンとラムリサーチが単一セグメントで製品の内訳を出していないため、両社が同じ工程の装置で競合しているのかどうかを、決算書から確かめられないからです。業界紙の推計は一次資料ではないので使いません。
当サイトは根拠がそろったものだけを掲載する方針です。確からしいという印象で◎を付けることはしません。
会計の期がそろわない
この業界は決算期が特にばらばらです。
- アプライドマテリアルズ — 10月の最終日曜が期末(FY2025は2025年10月26日)
- ラムリサーチ・KLA — 6月末が期末。すでに「FY2026」が終わっています
- 日本側3社 — 3月期
同じ「FY2026」でも、ラムリサーチとKLAのそれは2025年7月から2026年6月までを指します。表と図には各社の期を併記しているので、比べるときはそちらをご確認ください。
よくある質問
東京エレクトロンのアメリカ版はどこですか?
売上の規模と製品の幅で近いのはアプライドマテリアルズです。10-Kで業界で最も幅広い製品群を持つと述べており、東京エレクトロンも半導体製造装置を単一セグメントとする専業メーカーです。
ただし、両社が同じ工程の装置で競合しているかどうかは、開示資料からは確認できません。東京エレクトロンが製品ごとの内訳を出していないためです。
KLAは何をしている会社ですか?
半導体の製造工程で、できあがったものに欠陥がないかを調べる装置(検査・計測)が中心です。売上の9割がプロセス制御のセグメントです。半導体を作る装置ではなく、作られたものを調べる装置を手がけています。
ディスコの「精密加工ツール」とは何ですか?
ダイシングブレードやグラインディングホイールなど、装置に取り付けて使う刃や砥石です。使うたびに減るため繰り返し購入されます。有価証券報告書では装置と並ぶ主要製品として記載されています。
数値はいつ時点のものですか?
売上高は直近の通年決算で、米国企業は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)、日本企業は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書が出典です。株価と時価総額はページ下部に記載の基準日時点のものです。
各社の決算期はそろっていません。アプライドマテリアルズは10月の最終日曜、ラムリサーチとKLAは6月末、日本側3社は3月期です。会計基準は日本側3社が日本基準、米国側3社が米国基準です。売上高の範囲は完全には一致しないため、表と図には各社の期と会計基準を併記しています。
数値の基準日
- 売上高(米国企業)
- 各社の直近の通年決算(FY2025・FY2026)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
- 売上高(日本企業)
- 各社の直近の通年決算(2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
- 為替
- 1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。